chapter 8
何からはじめよう
flowとstockのふたつのデザインは強大な力を発揮する。生活者の志向を読み、魅惑するデザインは、市民の心を誘導し、社会に大きな潮流を作り出す。この国を戦争に駆り立てることもできる。
障がい者に優しい社会も、所得が低い家庭の子供達の教育も、デザインは実現できる。
デザインとハサミは使いようなのだ。
それでも現実は目の前にある。
予算と納期が厳しいflowの仕事ばかりが増えていく。社会のためのstockのデザインは、ボランティア活動の中だけで完結する。
でもここで思い返してほしい。
flowとstockは互いに関係しながら、循環するのだ。
flowの中には、必ずstockに繋がる動線がある。その動線を見つけよう。見つけたら、そこに小さな道標を置いてみよう。
←持続する価値 Sustainability 50m
←素敵な絆 Community 60m
←みんなの幸せ Diversity 70m
道標にはこの表示が書かれている。
3つの目的地を、flowの仕事の中に少しだけ混ぜてみる。
私はいま、あるまちづくりの計画に関わっている。都心の一等地に巨大で美しいまちが誕生する。マーケティングが要求する高級な住宅とオフィス、そして商業施設が計画されているflowのデザインに、小さな道標を立ててみた。多様性を受け入れ、素敵なコミュニティーが育つためのstockの道標である。
短期の利益を生みながら、未来への種子を計画的に蒔いていく。
これが他のまちとの差別化となって、マーケットに響く。
flowとstockが互いに関係しながら、ぐるぐると循環する素敵なまちが、きっと出来る。
ちいさなstockは新なflowを生み、そこからさらに次のstockが拡大する。
幸福のデザインが見えてきた。
コペンハーゲン動物園